『 ヤキモチ 』


行って来ます。
良い子で待っててね。

頭を撫ぜられ、見上げると紫色の目が細め微笑んでいた。

言葉の代わりに頷いて返すと、
撫ぜていた手が離れ、玄関を潜ると扉が閉まり姿が見えなくなった。

「さてと、片付けをして洗濯が終わったら、
 買い物に行きましょうね」

一緒に見送りをしていた女性が微笑みながら言う言葉に、
先程と同様に頷き返すと

「まずは、お皿を洗うから手伝ってね」

微笑まれたまま手招きされ、後と付いて行きキッチンに入ると、
先ほどまで座っていたイスをリビングから引きずる様に持ってくる。

よいしょ・・

肩ぐらいの高さの座席の上によじ登り、
乾いたタオルを手に持ち、水の付いた皿を丁寧に拭いていく。

お皿、カップ、ナイフにフォーク

1つ1つ丁寧に拭き、出来上がったモノを重ねて置く。

終われば、棚に片付ければ皿洗いの手伝いは終了。

次は洗濯

洗濯機から出されて乾燥機に掛かってた洗濯を出して、
リビングに運ばれてきた服をたたむ。

両手を広げても大きい服を床に広げ、
端から折り曲げていく。

数枚の上着を畳み終わる頃、
残っていた服は全て畳み終わり、
タンスへと入れる。

ふぅ・・・次は・・・

部屋に備えられているタンスに服を入れ
義母の元へと駆け寄る。

「ありがとう。
 次は、お買い物ね」

変わらず微笑まれ、手を繋ぎ外へと出ると、
人工的に作られていると言え、
太陽の様にまぶしい光の中、歩いて行く。

暫く歩くと、さまざまなお店が左右にあり、
人通りが多くなる中、人にぶつからない様に気を付けて歩きながら、
手を引かれて1件の店に入った。

独特な雰囲気を持つ店内は、
雑誌を手に持ち読みふける人や
ウロウロと歩き回っている人。

そんな人達を不思議そうに見ながら、
奥へと歩いて行くが、少し広くなったスペースに入ると足を止め、

「いつもお手伝いをしてくれる、にご褒美。
 好きな本を1冊選んでいいわよ」

優しげに微笑みながらを見下ろし告げると、
繋いていた手を離し、背中をおした。

ゆっくりと、柔らかく押され1歩前に出ると、
足を止める事無く本棚の前に行き、並べられている本を抜き取る。

パラパラとページを捲り、元の位置へ返していく。

数度同じ行動を繰り返した後

気に入ったのか1冊手に持ち、
後ろで待っていた義母に差し出す。

「コレがいいの?」

の頷きを見ながら、差し出された本を手に取り
中身を見ると、猫の絵が描かれており、
何回も何十回、何百回と生き返り、時には白猫と幸せそうに笑い、
最後に泣いた猫の話

描かれている内容に苦笑しながらも、
見上げているの頭に手を伸ばし、

「お会計しに行きましょう」

再び手を繋ぎ歩き、カウンターにいた店員にカードを渡し
紙袋に入れられると手渡された。

「ありがとうございます」

店員の言葉を背に聞き、日に射す外へと出て再び歩き出す。

繋がれ、入っていった店で食料品を買い、
レジで先程のカードを店員に手渡し紙袋へ入れ外に出た。

ラップの巻かれたフランスパンが紙袋から顔を覗かせ、
時折、セロリの葉が見えたりしながら、ゆっくりと歩く。

「今日の夕御飯はロールキャベツよ」

視線を下げ、を見れば、不思議そうに見上げられ

「アスラン君がくるの」

キラの宿題を手伝いに来てくれるらしいの

微笑みながらの言葉に頷き、
先程の購入した本を抱え直し、見上げていた視線を
元に戻し、広がる町並みを見つめた。

時計が昼を告げる頃、
ようやく帰宅し、サンドイッチとミルクティーで昼食をすませ、
今まで買い集めた絵本を見ながら時間を過す。

ゆっくりとページを捲り、描かれている絵を楽しむ。

ソファーに座り、膝の上に置いた絵本を見ていると、
船を漕ぎ始め、ソファーを体に預け下りてくる瞼を何度か持ち上げるが
最後には目を閉じ、寝息を立て始めた。

「あらあら・・」

寝息を聞き、持ってきたシーツをかけると呼び鈴が鳴り
出迎える為へと玄関へと進んでいく。

「お帰りなさい」

柔らかな声が響く。

元気な足音と静かな足音が聞こえるが、すぐに足音が遠のいた。

ゆっくりと流れる中、目を覚ますと人工的な光が目に入り、
起き上がるとスープの匂いがする。

「おはよう、
 そろそろ夕御飯よ」

目を擦りながら頷くと、近くに置いてあった絵本の中から、
1冊持つとソファーから下り、1室目指し歩いて行く。

背を伸ばし、頭上にあるボタンを押し開いたドアに入り
イスに座る人物の服を引っ張れば、視線を向けられ、


 どうしたの?」

忙しそうに動かし手を止め、服を引っ張るを見れば

「キラ、
 手を止めるな!」

瞬時に怒りを含んだ声が挟まれた。

更に服を引っ張れば

、今は手が離せないから向こうで遊んでおいで。
 キラも手を止めるんじゃない!」

再び、声が飛ぶと、
肩をすくめ見上げてくるに苦笑し、
頭を撫ぜると、止めていた手を動かす。

服を掴んだままキラ見上げ続けるがに視線が向けられる事はなく
今度は違う服を引っ張れば

、今は忙しいから違う所で遊んでおいで」

下ろされる視線を合わせる様に見上げていれば、苦笑の言葉に
反発する様に強く引っ張るが

「どうして、そんな事をするんだ。
 ちゃんと見てるのか!?」

自分以外に向けられた言葉に、
目を大きくしたが、すぐ頬を膨らまし三度、服を引っ張るが
気付かなかったのか、言葉も視線も向けられなかった。

キラとアスランを交互に見るが、
2人はの事を忘れたのかPCの画面を見たり、
手元に広げられた機械を触ったりと急がしそうにする姿を見ると、
持ってきていた本を抱え直し部屋を出て行く。

頬を膨らませ、先ほどまで寝ていたソファーに座り、
持っていた絵本を開き見始める。

「キラ、アスラン君、
 そろそろ夕御飯だから下りてらっしゃい」

画面を見ながら話す義母の言葉に、顔を上げれば
微笑み返され、

も御飯だから、コッチにいらっしゃい」

手招きをされ、座っていたソファーから飛び降り
小走りで走りより、自分の席に座り運ばれている皿を見ていると
足音と楽しそうに笑う声が聞こえ入り口を見ていれば、
笑っているキラに、あきれているアスランの姿が見えると、
勢い良く視線を外し並べられた夕御飯を見た。

美味しそうな匂いがするロールキャベツを凝視し
席に付くキラとアスラン視界の端で見ていると義母も席に付き
夕食が始まった。

義母とアスランの会話

キラの不貞腐れた言葉

話を聞きながら、黙々と食べるの姿に
不思議の思ったのか

「どうしたの?
 なにかあった?」

動かしていた手を止め、キラがへと問いかけるが
視線を合うとすぐさま逸らし、夕食をし始めたの行動に首をかしげ
アスランへと視線を移せば、の行動に驚いたのか目を大きく開け
動きを止めていた。

3人の行動に苦笑して見守っている義母

夕食を終えたは1人ソファーに戻り、
先程見ていた絵本を再び膝の上に乗せ絵を見始める。

そんなの行動を黙って見ていたキラとアスランが視線を合わせると、
を挟むように左右に座り

、その絵本は、今日買ったの?」

キラの言葉に、視線だけ動かすが絵本で顔を隠す様に持ち上げる。

?」

今までに見たことの無い行動に戸惑い、
顔を見合わせ、困惑しているとキラが立ち上がると

「母さん・・・」

困惑を見せる言葉に、苦笑し

「キラとアスラン君にヤキモチを焼いているのよ」

の行動の答えを言えば

「ヤキモチですか?」

首をかしげているアスランの言葉に

、本を読んで貰おうと部屋へ行ったんだけど、
 構って貰えなかったからでしょうねぇ」

苦笑しながらの言葉に再びキラとアスランが顔を見合わせ、
再びの元へと近寄り



名を呼ぶが、絵本に隠したまま顔を見せないでいると
キラの手を伸ばしを抱き上げる。

絵本を離さないでいるとキラの行動に一瞬動きを止めるが、
歩いて行くキラの後を付いて行くと、自室である部屋へ入り
を膝に乗せ配線やネジなどを広げている机の前に座った。

「キラ?」

「ほら、アスランも座って」

呼びかけられた言葉に、微笑み返し横にあるイスを叩き座らせると

もいるから、説明は変わりやすくね」

配線を持ち、映し出されているモニターを見ながら
手を動かしていると、先ほどまで絵本を見ていたの視線は
キラの手を見ていた。

戸惑ってキラの動きを見ていたアスランが
間違いを指摘すれば、不思議そうにしているの視線を向けられ

「もっと解りやすく言わないとが解らないよ」

「だが・・・」

「解らないままじゃ、つまらないし。ね!」

微笑まれながらの言葉との期待を込めた視線に押され、
戸惑いながら言葉を作り、解らないの為に1つ1つ丁寧に説明をした。

期限ギリギリだった課題を何とか仕上げ、
を寝かし付けながら、持っていた絵本を読んでいれば、
いつの間にか規則正しい寝息が聞こえだすとため息を付くアスランに

のヤキモチて、初めてだよね」

苦笑しながら言葉をかければ

「あぁ」

疲れを感じさせる声の返事が返される。

「ヤキモチて、感情が出てきてるて事だよね?」

「まぁ、独占したい気持ちだから、そうなんだろうな」

「この絵本の主人公みたいに、早く白猫に合えると良いよね」

キラの言葉に、不思議そうな表情を見せるが
先程読んだ絵本の内容を思い出すと納得ができた。

白猫に合い、さまざまな感情を知ったネコ

声が出ず、言葉を作れないは表情で会話をする。

それも最近の事で、少し前は無表情が多かった。

『早く、楽しそうに笑う顔が見たい』

時折言うキラの言葉を思い出し無言でいると、
肩に手を置かれ部屋を出る様に促され部屋を出る。

暗くなる部屋に寝息が響く。

言葉を隠し
表情をも忘れたモノ

出会い、体験し生まれてくるモノ

忘れていたモノを再び思い出す事になる。

喜びと悲しみを

楽しさと苦痛を

全てのモノを思い出す。



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            16のお題 『 ヤキモチ 』

               如何でしたでしようか?
               付け加えるなら、「こうして主人公さんは機械が強くなっていったのでした」
               ですが、なんだかお題が無くなっているのいつもの事と言う事で・・・

               いつもリハビリ作品ばかりでお題に申し訳ないです。
 
                                                                 2004 7 19